あなたのマンションが廃墟になる日――建て替えにひそむ危険な落とし穴山岡 淳一郎
草思社 刊
発売日 2004-03-26
永住するつもりで購入したのにローン完済時には住めなくなる?! 2005-03-03
マンションに住んでいる人にとって、本書は、とても勉強になります。同時に、ぼんやりしていると今住んでいるマンションから追い出されるかもしれない、という危機感を呼び覚ましてくれる本でもあります。
皆さんはご存知でしたか。
マンションの所有関係を規定する法律である区分所有法は1983年と2002年の法改正で、建て替えを推進しやすいように変更されたことを。
それまでは「全員合意」が原則だったのに1983年の法改正で「五分の四以上の賛成」と条件が緩和され、2002年には客観要件を削除した区分所有法改正案が成立してしまいました。
客観要件が削除された、ということは、修理すればまだ使えるかもしれないマンションでも、「ともかく建て替えればいいじゃないか」というお金に余裕のある所有者が8割に達すると、建て替えられてしまうということです。賛成できない残りの2割の人は建て替えに伴う負担を負いきれない可能性が高く、もしも強引に建て替えが行なわれれば、参加できない人(主に高齢者)は「住宅難民」にさせられてしまうのです。
自分が高齢に達した時のことを想像すると、とても恐ろしい話です。
鉄筋コンクリートで長期間使えるはずなのに、なぜか日本のマンションは「30年」という欧米の3分の1にも満たない短い期間で破壊され新築されている、と著者は言います。大手不動産会社や建設会社の強い圧力を指摘する著者は、その元凶である田中角栄に舌鋒鋭く迫ります。
単に過去を糾弾するだけでなく、神戸震災で表面化した被災マンション建て替え問題、破壊せずに建物を再生させるリファイン建築の実例、太陽の光を利用したシステムや「無暖房住宅」、定期借地権の本来の姿など、今後の希望のタネも著者は提示しています。
著者の「スクラップ&ビルドは結局、高くつく」という主張が伝わってくる一書でした。
マンションを買えば、いつか必ず。 2005-02-02
今、マンションは、一戸建てへのステップではなく、終の棲家として、買われるようになってきています。
一方で、日本のマンションは、30年で、建て替えられています。
つまり、30年ローンを払い終えて、定年を迎える頃に、建て替えの時期が来てしまいます。もちろん、建て替えるにはまた、一千万円、二千万円といった、お金が必要です。お金がなければ、廃墟になるだけです。
この本には、そんな生生しい現実が、レポートされています。
第1章では、建て替えに失敗した団地の事例が、第2章では、マンションの寿命を30年にした日本の政治の歴史が、第3章では、阪神淡路大震災での建て替え問題が、第4章と第5章では、日本とヨーロッパでの建て替えずにマンションの寿命を延ばす事例が。
マンションを、30年で壊してしまうのではなく、40年50年と持たせるのは、持ち主である管理組合の力です。
マンションを買った人、これから買おうと思っている人に、是非読んでもらいたい本です。
考えさせられる内容です 2005-01-24
区分所有という概念は日本独特のものであるということには少なからず衝撃を受けました。住宅のメンテナンスに対する考え方が欧米人とは根本的に異なる日本人が、50年も100年も住宅の質を維持することがどんなに困難か、考え方の異なる住人が何十、何百も同じ屋根の下に住むこと自体にそもそも無理があることを、この本を読む前からなんとなく感じてはいましたが、それが確信に変わりました。マンションがダメだというつもりはまったくありません。私自身も自己所有のマンションに住んでいます。共同住宅の資産価値を維持することはとても大変なことであるということを、少しでも多くの人にわかってほしいと思います。
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